発達障害は病気ではありません。治ることはありませんし、ひとつの特性や個性と前向きに捉えて接することが大切です。
発達障害の子供に悪気はなくても、まわりにいる友達や、家族が困ることが多いのではないでしょうか。
「あの子は乱暴だよね」「話を聞いてくれなくて困ってしまう」と思うことはありませんか?
困った行動から、発達障害をもつ子供の特性がチクチク言葉で表現されてしまうことが多くあります。
しかし、チクチク言葉を言っていても、何も解決しませんよね。
今回の記事では、発達障害の特性をチクチク言葉ではなく、どうしたら前向きなふわふわ言葉で捉えられるか一緒に考えていきましょう。
発達障害はチクチク言葉で表現されやすい
発達障害がある子供は、周囲と比べて「できないこと・違うこと」を、チクチク言葉で表現されてしまうことがあります。
発達障害のあるなしに関わらず、苦手なこと・できないこと・失敗したことは、チクチク言葉で表現されがちですよね。
発達障害のある子供たちは、苦手なこと・できないこと・失敗してしまうことが多くなってしまいがちです。
それは、本人だけの努力では改善することはむずかしく、周囲のサポートや理解が必要になります。
それでは、発達障害の子供たちに多くみられる特性を紹介していきますよ。(個人差が大きいので、この限りではありません)
発達障害の種類 | 主な症状・苦手なこと |
自閉症スペクトラム症(ASD) | 他者とのコミュニケーションが苦手 同じ行動や活動を繰り返す |
注意・欠如多動症(ADHD) | 注意力の欠如 落ち着きがない |
学習障害(LD) | 読字障害 書字障害 |
チック症 | 突然大声を出す まばたきや首振りなどの動作を繰り返す |
吃音 | なめらかに話すことができない |
例えばASDの子供に多く見られる症状として、同じことや行動を繰り返す「こだわり」という特性があります。
「どうしてみんなと同じようにできないの?」「もう止めなさい!」とチクチク言葉を言われてしまいがちです。
なぜそれにこだわってしまうのかというと、「それが好きだから」「落ち着くから」「他のものではダメだから」など、本人なりの理由があります。
ですが、それを理解できず発達障害のある子供に指示をしても受け入れてもらえないことで、チクチク言葉が出てしまうのです。
「あの子はいつも同じことばかりでこっちの言うことは全く聞いてくれないし、相手にしていられない」となりますよね。
逆に、理解があるようで聞いていて傷つくチクチク言葉が「かわいそうだから」「言ってもできないんだから」という言葉です。
「言ってもできない」のではなく、できるように教えてもらえていない、理解が深くないから教えられないのですね。
どうしたら理解してもらえるのか、どうしたら伝わるのかを、発達障害の本人と一緒に探していく必要があります。
発達障害ならではの特性は、まわりの人を困らせるかもしれませんが、前向きに捉えて寄り添って、やさしく導いてあげたいですね。
発達障害の子どもは言葉をストレートに伝えてしまうことも
「思ったことをストレートに言葉にしてしまう」のも、発達障害の子供にみられがちな特性のひとつです。
よくいわれるのが「あの子って、空気読めないよね」という場面ですね。
発達障害がある人は、相手の気持ちを考えたり、相手の立場で物事を考えることが苦手です。
さらには「空気を読む?なんだそれ?」というふうに思ってしまいます。
同じように、遠回しな言葉で伝えようとしたり、イヤミをいったりしても、言葉通りに受け取るので通じないでしょう。
悪気があったり、あの人を傷つけてやろうと思って、わざとチクチク言葉を言っているわけではありません。
また、言われたことをそのまま素直に受け止めてしまうことも、特性といえる部分ですね。
ですが、まわりの人にとっては厄介かもしれません。そう思われてしまうと、人間関係が築けなくなるのです。
発達障害の子供は、言われたことに傷つく子供もいるかもしれませんが、あまり気にしていない子供もいます。
あなたが「この場面でこういうことを言わないでほしい、傷ついた」と思ったら、ストレートに伝えてあげてください。
きっと「気がつかなくてごめんね!わかった!」と返答がかえってくるでしょう。
お互いに思ったことを素直に伝え合うほうが、発達障害の子供とのコミュニケーションはうまくとれるのです。
発達障害の子どもと考えるチクチク言葉とふわふわ言葉/サポートのポイント
先にもお話しましたが、発達障害の子供は、思ったことをストレートに言葉にしてしまいます。
それがチクチク言葉であったり、相手のことをまったく考えていないような言葉であっても伝えてしまうのです。
言われたほうは、やっぱり傷つくしイヤな思いをしますよね。
「特性だからしょうがないね」と放っておくと、発達障害の子供が学ぶ機会を逃してしまいます。
「教えてもしょうがない」「どうせ覚えられないんでしょ」と思うことこそ、チクチク言葉だと気づいてください。
時間はかかるかもしれませんが、発達障害がある子供でも、きちんと納得することができれば変われるのです。
言ったその場で、すぐに教えてあげる
むずかしい場面もあるかもしれませんが、できるだけその場ですぐに教えてあげましょう。
時間が経ってから「あのとき、ああ言っていたけれど、それはチクチク言葉だよ」と話しても、きっと子供は忘れています。
「今、〇〇ちゃんにキライって言ったけど、それはチクチク言葉だよ。ごめんねしようね」などです。
友達と遊んでいて、チクチク言葉が出てしまうことは、きっと多いのではないでしょうか。
そのつど遊びを中断してすべてを指摘する必要はないですが、どうしても聞き流せないときもあると思います。
そのときには、遊びを中断させてでも教えてあげてくださいね。
話しをするときには、怒って強い口調になってしまわないよう、やさしく言い聞かせるようにすることもポイントです。
大きい声やこわい表情、強い口調で話しをされると「怒られた!」という記憶しか残らなくなってしまいます。
発達障害があるからと何でも許していては、将来的にみると子供のためになりません。根気強く、やさしく、納得いくように教えてあげましょう。
目で見て理解できるように教える
言葉で言っても伝わらない!そういうときには、目で見て理解ができるように教えてあげることも手段のひとつです。
「それはチクチク言葉だよ」と言葉で伝えても、なかなか納得できなかったり、口ごたえしたりする子供もいるでしょう。
大きな紙に「チクチク言葉」「ふわふわ言葉」と書いて、子供達と考える時間を作ってみるのもよいですね。
自分が言われてイヤだったチクチク言葉と、どう言われたらうれしいかふわふわ言葉へ変換して書き出してみましょう。
きっと素直な子供達なので、たくさん言葉が出てくるのではないでしょうか。
こだわりが強いけれど、コミュニケーションがとれる子供なら、絵にかいて「こう思われているんだよ」と知らせることも有効ですよ。
発達障害の有無にかぎらず、言葉で伝えるのが難しい子供には、絵にかいたり見てわかるようにしたりすると、わかってもらいやすくなります。
話をするときには「タイミングをみて、短く、簡潔に」
何かをしてほしいときには、前もって区切りをつけておく、一度にいくつも指示をしない、短い言葉で伝えるようにしましょう。
何かをさせなくてはいけないとき(学校へ行く準備など)、大人のタイミングで声をかけますが、それがパニックの原因になりかねないのです。
誰でも、自分の好きなことに集中しているときに声をかけられたり、中断させられたりするとイヤな気持ちになりますよね。
「もう止めなさい!」と急に中断するのではなく、ここまでやったら、この時間になったら、と見通しがもてるように声をかけるとよいですよ。
毎回うまくいくとは限りませんが、毎日積み重ねることで、子供も大人もルーティーンになって、できるようになっていくと思います。
また、声のかけ方も「顔を洗って歯磨きをして、トイレに行って着替えをして…」では、なにを言われたかわからなくなってしまいます。
ひとつずつ、終わったタイミングで次にやることを話してあげるようにしましょう。
順番にやることを書いたボードを作って、終わったら順番にチェックするなど、子供がわかりやすいように工夫することでうまく行動が進みます。
宿題をやったらシールを集めて、5個たまったら好きなおやつがもらえるなど、子供のやる気がアップするごほうびがあると身につきやすいですね♪
まとめ
- 発達障害の子供は、特性をチクチク言葉で表現されることが多い
- 発達障害の子供の特性にたいする困りごとは、自分だけで解決はむずかしく、周囲の理解とサポートが必要
- 発達障害の子供は思ったことをストレートに表現してしまうが、悪気はない
- 発達障害の子供に言われてイヤだったことは、そのときにすぐ本人へ伝えたほうが、コミュニケーションはうまくとれる
- 発達障害の子供へのサポートのポイントは「その場ですぐ伝える」「視覚的に理解を促す」「タイミングと伝え方」の3点
発達障害の子供は、苦手でできないことやこだわりが強いために、周囲の大人や子供達にわかってもらえないことも多いのです。
できないことよりも「こうしたらできるんだ!こう言ったらわかってもらえるんだ!」と特性を前向きに捉え、ふわふわ言葉をかけられるとよいですね。