特別支援教育の場では、チクチク言葉を耳にする機会が多いのではないでしょうか。
子供達も悪気なくチクチク言葉を使っているケースも多いですよね。
特別支援教育において、友達との関わりについて考えていくためには、日常生活の中でより実践的な指導が求められます。
あなたが関わっている子供達はどんな時にチクチク言葉を使っていますか?
私が関わっている子供達は、お友達を注意するときにチクチク言葉を使ってしまうことが多く見受けられます。
この記事では、ASDやADHDなど、さまざまな障害を抱えた子供達がチクチク言葉の問題点に気づき、ふわふわ言葉を増やすためのポイントをご紹介します。
自立活動指導案 チクチク言葉とふわふわ言葉指導時のポイント
自立活動では、何を目指して指導すればいいのでしょうか。
ねらい
- 友達とのよりよい関わり方について考えることができるようにする
- 日常生活場面に模したより実際的な場面において、ふわふわ言葉を使うことができるようにする
自立活動が必要な子供の中には、対人関係に苦手意識をもつ子供が多いので、上記のような狙いとなっています。
児童個人の現状
- 注意するときの言葉が厳しい
- 自分の考えを優先してしまう
上のように、自己中心的な態度が見られることも多いです。
では、自立活動では、なにが達成できれば良いでしょうか。
目標
- 友達とのよりよい関わり方について考えることができる
- クールダウンの方法を使うことで、気持ちを落ち着かせられる
- 日常生活場面に模した、より実際的な場面において、フワフワ言葉を使うことができる
友達との関りの他にも、自分の気持ちを落ち着けることも大事にされていますね!
特別支援教育の場面でも、「日常生活のなかで」の言葉の使い方が重視されています。
言葉にはチクチク言葉とふわふわ言葉がある
まずは、チクチク言葉とふわふわ言葉をそれぞれ挙げるところからスタートします。
どんな言葉がチクチク言葉で、どんな言葉がふわふわ言葉かをグループ分けするとわかりやすいですね。
友達と仲良く過ごすために必要なことはなにかを考えられることを目指しましょう。
チクチク言葉を使うことが多い子供ほど、本当は友達と仲良くしたいと思っています。
「仲良くしたいけどできない」のが子供の本当の気持ちです!
「また言ってしまった」などと悲しそうな顔をする姿をたくさん見かけます。
そんな子供達の味方となれるよう丁寧に指導をおこないましょう。
こんなときなんて声をかけたらいい?ロールプレイングを行う/sst
ルールのある遊び
ルールのある遊びのなかでチクチク言葉を減らし、ふわふわ言葉を増やすことを試しましょう。
指導者は子供達がチクチク言葉を言ってしまう場面を用意します。
例えば、輪投げや空き缶積み、ボーリングなど作業が簡単で勝ち負けの結果がわかりやすいものを用いると良いでしょう。
負けたときなどに出てしまうチクチク言葉に気づかせて、ふわふわ言葉に変換していくことで、チクチク言葉を減らし、ふわふわ言葉を増やすことを試す方法です。
簡単なルール、わかりやすい結果の遊びを用いることで、自分の言葉に意識を向けやすい状況を作ります。
また、勝ち負けがその都度変わるような遊びを用いることで、「勝っているとき」「負けているとき」のどちらの状況についても考えることができるのでおすすめです。
おもちゃの取り合い
おもちゃの取り合いもよく起こりますが、おもちゃの取り合いになるシーンを題材にロールプレイングを行うことも有効です。
「友達が使っているおもちゃで自分も遊びたい。」そんなとき、どんな言葉を使うとよいでしょうか。
無理矢理取ったりチクチク言葉を言ったりするのではなく、「貸して」「一緒に遊ぼう」というふわふわ言葉が出るよう繰り返し伝えていきましょう。
また「自分が使っていたおもちゃを取られる。」そんなときどんな気持ちになるかを一緒に考えることで相手の気持ちに気づくきっかけとなります。
チクチク言葉とふわふわ言葉、それぞれ言われたときの気持ちを想像してみよう
上記のような場面で、もう少し細かく場面設定をしながら気持ちを考えていきましょう。
自分が勝っているか負けているかによって気持ちは大きく変わります。
また、同じ「勝っている」でも、「勝ちに近い」「勝てそう」「勝った」とそれぞれタイミングでも気持ちは変わるものです。
それぞれのタイミングで気持ちがどのように変化していくかを客観的にとらえられるように声掛けをしていきましょう。
勝っているときに、相手に「ずるい」と言われたらどう思うでしょうか?反対に、「すごいね!強いね!」と言われたらどうでしょう?
負けているときに、相手に「ざまあみろ!」「弱いね」「下手すぎ」などと言われるとどんな気持ちになるでしょうか。
細かい場面設定を伝えながら、実際にチクチク言葉を言われたらどんな気持ちになるか、ふわふわ言葉を言われたらどうかを想像して答えてもらいましょう。
今後どちらの言葉をたくさん使ったらよいか、なぜそう思ったのかを聞いてまとめる
ここまでの取り組みを通して、今後ふわふわ言葉とチクチク言葉どちらをたくさん使うとよいか、考えてまとめるようにしましょう。
振り返りを丁寧におこなうことで、学習をより効果的にし日常の中実践できる場面が増えていきます。
振り返りをするかしないかだけで効果が大きく変わるのです。
まとめ
- 友達とのよりよい関わり方について考えることができるようにすることをねらいとする。
- チクチク言葉を使うことが多い子供ほど、本当は友達と仲良くしたいと思ってる。
- ルールのある遊びやおもちゃの取り合いなどの場面で考えさせる。
- 細かく場面設定をしながら気持ちを考えていく必要がある。
- 振り返りを丁寧におこなうことで、学習をより効果的にし、日常の中で実践できる場面が増える。
今回は自立活動の場面でのチクチク言葉の指導について見てきました。
「友達と仲良くしたい」という子供達の願いを叶えられるよう支援していきましょう。