京都の京言葉と言えば、はんなりして上品なイメージがありますよね。
同時に、言葉の裏側に嫌味や皮肉が含まれていて、京言葉は怖いというイメージをお持ちの方もいると思います。
でも、ちゃんと理解すると、嫌味や皮肉だけではなく遠回しに意思を伝える意味で使われているのも京言葉なのです。
私も京都が好きで、訪れたときの参考にしようと、京都特集のテレビ番組などをよく見ます。
その中で、京言葉の怖くて嫌みな部分を誇張して取り上げられている場面を見るのは、残念でなりませんでした。
この記事では、とがった言葉を和菓子の皮で包んだような、場を和ませることもできる京都の京言葉をご紹介します。
京都の京言葉は嫌味?チクチク言葉?実は怖い意味や皮肉かも
現実問題として、言われたことを額面どおり受け取って良いのか、判断に悩んでしまう京言葉。
実は、嫌味を言われているかもしれない京言葉を、5つ紹介します。
1 よろしいなあ、よろしおすなあ
よろしいという表現は、良いという意味だけではありません。
京言葉では、どうでもよろしいという意味合いも含まれています。
2 おおきに
もちろん、素直に感謝を伝える言葉ではあります。
ところが京言葉では、NOの意味で使われる場合もあるのです。
直接NOを言わないことが、相手に対する優しさなのでしょうね。
とはいえ、言われた方はどちらの意味か悩んでしまいそうです。
3 考えときます
相手をお誘いして、考えときますと言われたら、返事を期待するものですよね。
しばらくして、「このあいだの件はどうなりましたか」と返事の催促をすると、京都では嫌な顔をされるでしょう。
なぜなら、京言葉では、お断りしたことになっているからです。
「はっきり断るとあなたが傷つくから、遠回しにお断りしているのです。察してくださいね。」という返事です。
4 どないしはったん?
普通に、どうしたのかと尋ねるときに使います。
その一方で、「訳のわからないことを言っているが、大丈夫か?」と、皮肉を込めて使われることもあるのです。
5 ぶぶ漬けでもいかがですか?
ぶぶ漬けとはお茶漬けのことで、最後の締めに食べるものです。
そこで、この言葉を使って、「そろそろお帰りください」と促されているのです。
しかし、これは落語の話で、実際に会話の中で使われることはないと言われています。
ただ、笑顔で嫌味が言われているかもと想像すると、怖いなと身構えてしまいますね。
チクチク言葉をなくしたら京都の京言葉のようになると心配の声も
意味を理解すれば、相手を直接傷つけずに思いを伝える言葉、それが京言葉。
逆に、相手の気持ちを傷つけ、嫌な気持ちにさせてしまうチクチク言葉。
チクチク言葉をなくしたら、直接的ではない隠された意味の嫌味を持つ京言葉のようになると、心配する声もあります。
私はそうは思いません。
例えば先ほどの京言葉で考えてみると、チクチク言葉で「その話はどうでもいいよ」と言うところを「よろしいなあ」と言われたらどうでしょう。
どちらも「どうでもいい」という意味で言われたとして、「よろしいなあ」と言われた方が和やかではないでしょうか。
直接相手を攻撃するチクチク言葉を使うよりも、京言葉を使って遠回しで和やかな雰囲気を保つことこそ大切だと思います。
京都の京言葉は悪い意味ばかりではない
京言葉の、嫌味の表現だけが切り取られ、誇張されているのをよく見かけます。
しかし、京言葉は悪い意味だけではないのです。
美しい言葉や楽しい言葉も、京言葉の中にはたくさんあります。
何より嫌味の表現と言われる言葉も、相手を思いやりながら、遠回しに意思を伝える場面で使われているのです。
例えば、会議の場面で白熱し、感情的な発言で嫌な空気になることがありますよね。
そんなとき、京言葉のように遠回しに意思を伝えることができれば、スムーズに議論が進むかもしれません。
まとめ
・実は、嫌味を言われているかもしれない京言葉は、確かにある
・直接嫌味を言うよりも、場の雰囲気を壊さずに意思を伝えることができるのが、京言葉
人の言葉に裏表があることなんて、京言葉だけに限ったものではありませんよね。
お互いが相手の気持ちを思いやりながら、言葉の真意を理解して行動することが大切なのではないでしょうか。